山梨のいまを伝えるウェブマガジン

MUJINKAI

白ワインのような美しさ!?透き通る涙で見上げたMarina’sのステージ!天使の歌声と家族の絆

EVENT 2016.03.07
  • LINEで送る

今回は、親子ユニットMarina’sをご紹介させていただきます。山梨県を中心として、音楽活動をされているMarina’sのKey/Vo麻里奈さん
DSC04645

平成24年には、内閣府主催「社会貢献青少年表彰」を受賞し、内閣府特命担当大臣から表彰されました。

東日本大震災を忘れない

平成28年2月14日、甲府市内の自動車販売店にて“バレンタインデーフェア”を記念したイベントが開催され、Marina’sが出演しました。会場に到着すると、麻里奈さんが「あ、げんきぃ」と私に向かって大きく手を振って迎えてくれました。さらに、目尻が下がった優しい表情で、握手をしていただきました。

11時30分、ライブがスタート。メンバーの友梨さんは、華やかな着物姿で登場。「かわいい」との声が会場内から聞こえてきました。
DSC04418
左からkey/Vo佐喜子さん(母)、key/Vo麻里奈さん、Vo友梨さん(妹)

1曲目はTV・アニメ主題歌の「サザエさん」のアレンジを披露してくれました。原曲とは印象の異なる爽快なテンポ感で、三人の輪唱が優しく心に届いてきました。

「この曲は、東日本大震災当時に多くの場所で歌われました。被災者への想いを忘れずに人のつながりを大切にしていきましょう」と友梨さん。そんな思いを溢れさせた「上を向いて歩こう」(坂本九)。曲のように人のつながりを大切にしたいという「糸」(中島みゆき)。
DSC04541

佐喜子さん 「麻里奈には、心身共に重度の障がいがあります。現在21歳。お話したり、考えたりする力は3歳程度。体を動かす力は1歳程度と診断されています。今日は、皆さんに歌を聴いていただいて、皆さんとお友達になれることを楽しみにしてきました。そして、9つ年下の妹の友梨。妹の方が、背が高いので、お姉ちゃんと必ず言われるんですが、妹です。現在小学6年生です。そして、母親である私の3人のユニットです」
DSC04643

続けて、「どんな意味があるのか調べてみた曲があります」と語った佐喜子さんは、「アメリカの同時多発テロ事件発生時に書かれた」と「ハナミズキ」(一青窈)を紹介し、歌い奏でてくれました。佐喜子さんが奏でる柔らかいピアノからスタートし、麻里奈さん、友梨さんと順に加わっていく幻想的なアレンジ。会場にいた観客の心に響かせ、めくるめく愛情の世界を立ち上げてくれました。

会場から沸き起こる拍手は、しばらく消えませんでした。

家族を大切に思う「友♡友」

麻里奈さん 「ここで私たちの素敵なお友達をご紹介したいと思います。友梨、愛友」と呼びこみ。ステージの下手から、花柄の着物姿の愛友さんが登場。1曲目は「フレンドシップ」(桜田直子)。合唱曲として代表的な曲ですが、友♡友の演奏において、ひとりぼっちじゃないとメッセージを持った楽曲になって聴こえてきました。
DSC04488

愛友さん 「私たちは、4年生の頃、音楽コンクールに山梨県の代表に選ばれて、関東大会に出場したことで出会いました。実は、私にも麻里奈ちゃんのように、障がいがある兄がいます。こんな偶然てあるのでしょうか。同じ境遇の私たちだからこそ、何かできることがあるのではないか。その役割を果たしていきたいと思います」
DSC04498

それぞれの名前が書かれた紙を掲げて、ユニット名の紹介してくれました。

苦しくてもみんなを助けてくれる優しいヒーローですと語ってくれた「アンパンマンのマーチ」、「夢をかなえてドラえもん」。会場内は、一気に陽気で楽しい雰囲気に。
DSC04598

「愛友ちゃんの受験勉強のために活動を休止していた時期がありました。離れていても心の中では、きっともう一度歌おう。そんな思いから2人の間を埋めてくれる曲がありました」友梨さんはこう言って、「ひまわりの約束」(秦基博)、「大切なもの」(山崎朋子)を披露してくれました。
DSC04515

「Marina’sの妹分友♡友でした」とピタリと決まり、ステージを後にしました。

2部では、再びMarina’sが登場。映画の主題歌「となりのトトロ」・童謡「ひらいたひらいた」と続き、会場の子供達と一体となっていました。最後の曲は、「シアワセ」(坂田おさむ)

麻里奈さん 「皆さんは、どんな時が幸せを感じますか。私たちにとっては、歌うことが幸せです」という言葉で幕を閉じました。幸せと一言で表現するのは、簡単ですが、さまざまな苦労を乗り越えてきたMarina’sだからこそ、その言葉の意味を改めて実感する瞬間でした。

彼女たちの歌声は「天使のハーモニー」と言われ、多くの人を感動させてくれます。会場では、あふれる涙をハンカチで拭う姿がありました。
DSC04662

手の温もりから涙があふれる

ステージから降りた麻里菜さんは、会場の一人ひとりと握手をしていました。「あったかい、あったかい」と会話をされていました。
DSC04724

障がいの有無や世間の評判に惑わされることなく、自らの可能性を信じて挑戦する姿は、Marina’sファンだけでなく、普段音楽をあまり聴かない方でも共感できると思います。
DSC04744

夢に向かう姿
イベントを終えた白井佐喜子さんにインタビューさせていただきました。

―コンサートお疲れさまでした。Marina’s結成のきっかけをお聞かせください。
佐喜子さん 本日は、イベントにお越しいただき、ありがとうございました。幼い頃から麻里奈は、歌が好きでした。大きな声で泣いていても、そっと歌ってあげると、泣き止んだんですよ。不思議ですよね。そんな麻里奈が小学生になった頃、音楽発表会に参加出来ない経験がありました。当時、参加は控えてほしいと申し出がありました。麻里奈のせいで、優勝を逃がしてしまうことは避けたい。その判断は、当然のことだと思います。

そこで、麻里奈の歌声を身近な人たちに届けたいと思うようになりました。そこで、私が小さなコンサートを企画することにしました。私と妹の友梨を含めて、童謡などの曲を練習して、コンサートを開催しました。ご招待した方々からには、大盛況でした。
DSC04759

―幼い頃の経験が現在の活動につながっているんですね。これまでどのような場所で演奏会をされてきたのでしょうか。
佐喜子さん 平成14年に活動をスタートしました。今までの公演回数は200回を超えていると思います。病院や老人ホーム、福祉施設など、さまざまな場所で演奏してきましたよ。口コミやSNSで活動を知っていただくこともあります。県外からの依頼も増えています。最近では、静岡にも行ってきました。

―佐喜子さんが弾くピアノは素敵でした。
佐喜子さん 今日は、ごめんなさいね。実は、急に前奏が弾けなくなってしまいました。ごめんなさいね。
DSC04774

―生の演奏はいろいろなアクシデントがあると思いますが、それも演奏会ならではの味ですよ。ところで、麻里奈さんはいつ頃から音楽を始めたんでしょうか。
佐喜子さん 麻里奈は、2歳を過ぎたあたりから歌っていましたよ。会話を覚える前に歌えていました。3歳になり、少しだけ話せるようになりました。4歳では、歩くより前に、ピアノを弾いていました。5歳になると、周りの子たちの歌にコーラスパートをつけたり、麻里奈の音楽の才能には、いつも驚かされています。練習の時、麻里奈は私が弾くピアノの音を頼りに、歌っています。違う音を出すと、困った表情をします。あの子には、絶体音感があるんでしょうね。

―音楽機材は、重たいのではないでしょうか。
佐喜子さん 大きなスピーカーは、移動するのに一苦労です。特に、女性にとっては、大変な重労働です。けれど、麻里奈の小さい声は、スピーカーがないと、お客さんの耳には届きません。麻里奈の声を届けたい。その一心から、毎回頑張っています。もう、慣れました(笑)。

DSC04459
そっと手を差し出す姿
DSC04679

―麻里奈さんの歌声は、家族が一致することでうまれているんですね。ここ山梨の環境は、Marina’sの活動にどう影響されていますか。
佐喜子さん 私は、生まれも育ちも山梨県ですが、特に不自由を感じたことはありません。豊かな自然、地域の結束力の強さは、音楽活動にいい影響をもたらしてくれています。けれど、時々、都心の友達を羨ましいなと思う時はあります。その友人は、障がいがあっても、堂々と演奏しています。「隣の芝生は青い」って思うのかしら…。

DSC04517

―Marina’s結成以前は、人の前で話したりすることが苦手だったと伺いましたが、新たなことに挑戦した時の気持ちをお聞かせください。
佐喜子さん 新しいことに挑戦するのは、とても勇気が必要であると思います。初めてのコンサートは、とても不安でした。麻里奈をステージの上に立たせて、演奏させることに恐怖を感じてしまいました。練習を重ねたとはいえ、音楽の未熟さなど批判されるのが、怖かったです。今でもステージに立つのが不安な状態です。その不安を打ち消すために、繰り返し演奏会を続けているのかもしれません。Marina’sという自転車のペダルを漕ぎ続けています。もし、漕ぐのを止めてしまうと、パタッと倒れてしまうのではないかと思っています。ホントの自転車操業(笑)ここまで続けられたのは、理解し受け入れてくれる人がいたからです。私たちの音楽を聴いてくれて、優しく受け入れてくれて本当に感謝しています。
DSC04606

―エンディングのしあわせって歌詞が出てくる曲、とってもよかったです。
佐喜子さん シアワセって曲ですね。いい曲ですよね。私も大好きな一曲です。作詞・作曲をされている坂田おさむさんにお礼が伝えたくて、ファンレターを出したことがあるんです。すると、後日返事が返ってきました。なんと、坂田さんのコンサートチケットが同封されていました。もちろん、コンサートは最高の思い出となりました。ますます、曲が好きになりました。

―最後に、夢をお聞かせください。
佐喜子さん 明日も歌えることです。麻里奈には、障がいがあります。親がサポートしなければ、演奏の準備が出来ません。ここまで続けられたのは、理解し受け入れてくれる人がいたからです。私たちの音楽を聴いてくれて、優しく受け入れてくれて本当に感謝しています。しかし、人間には寿命があります。もし、私にその時が訪れても、子供たちが音楽を続けていける環境になってほしいと願っています。続けていける環境になればいいな…

編集後記

イベント当日は、晴天に恵まれました。数日前の天気予報では、雨でした。しかし、当日は晴天。もしかしたら、麻里奈さんの笑顔が、雲を動かして、晴れをもたらす高気圧を近づけてくれたのかも。そう思わせくれる麻里奈さんの優しい姿にとても感動しました。

アンサンブルの形もさまざまです。Marina’sのように、音楽活動を通じて、地域の人たちと関わり、地域づくりの課題解決に向けて、大きく貢献するのではないでしょうか。平成28年4月より「障害者差別解消法」が施行されます。私自身もサポートの必要な方に安心して、暮らしやすい世の中になればいいなと思います。そのためにも、まずは身近な人を支えてみてはいかがでしょうか。

今後、一体どんな成長をみせていただけるのか、楽しみです。ご覧いただいた皆さまも、次回のイベントをチェックし、会場を訪れてみてはいかがでしょうか。

DSC04797

Marina’s
麻里奈さんにアポストロフィーとエスをつけて、Marina’s。自らの生涯を振り返り、家族で演奏することが自分のライフワークだと言う佐喜子さん。今後も東日本大震災の当時に多くの場所で歌われた童謡や歌謡曲を合唱にアレンジし、皆さまのところに伺います。

・外部リンク
Marina’sブログ

  • LINEで送る
成嶋徹
成嶋徹

一言でいうと、おっさん版の林真理子【経 歴】山梨県甲府市出身。学生・行政・商店と連携して甲府の魅力をPRする企画を実施。平成27年6月、山梨WEBマガジン「MUJINKAI」を友人と設立し、編集長になる。16歳から甲府駅前にて路上ライブを開始。さまざまなアーティストと共演する。 【性 格】よいです。小学校5年の時、近所でずぶ濡れになったセキセイインコを拾ってきて飼ったことがあります(ピーピー鳴いていたので、ぴーちゃんと命名) 【趣味】水泳

もっと見る